現在の日本における一般的とされるウェディングは「結婚式」+「披露宴」がセットになっているもので、皆さんが思い描くのもこの形ではないでしょうか?
そもそもこういったウェディングは先の東京オリンピック開催にあたり、東京にいわゆる『シティーホテル』が続々と作られてからが始まりと言われています。各国のオリンピック選手団が滞在をきかっけに作られたホテルですが、オリンピックが終われば需要は激減します。そこで「結婚式」というコンテンツを取り入れたからなんですね。
ホテルウェディングが隆盛を極めた時代が終わり、やがてゲストハウス型ウェディングとなり今に至ります。
ゲストハウスはいわばウェディング専用施設の為、ホテルのように「宿泊」や「宴会」、その他「スペースレンタル」で売り上げを作る事は出来ません。そう、結婚式があってこその物なのです。
だからこそ誰もが憧れるようなハードに仕上げ、ホテルよりも「非日常」を感じる空間を花嫁花婿に提供してきました。しかしその反面、結婚式の総費用は増加の一途を辿り続け、日本経済が停滞している現在においても年々増え続けています。
そしてここに来て、これまで受け継がれてきた一般的なウェディングに対しての「価値」を疑問視する若い方々が増えています。
確かに結婚というものをそもそもから考えると、「結婚式」は始まりに過ぎず、その後も結婚生活は続きます。その始まりに何百万という出費をするより、長く続く日常生活のために備えてたいという考えが出てきても当然と言えば当然のことです。もちろん結婚式に対してそれを凌駕する価値を感じる方も多くいらっしゃいますが、今や昔と違い「価値観」の細分化は大きくなっています。
以前は日本人の価値観は「右にならえ!」的でしたが、現在はある意味「人は人、自分は自分」と考える方向性が強いのかもしれません。
ここ十年近く、結婚式には「見た目」「華やかさ」「非日常的空間」が求められ、その需要に応えるべく結婚式場専門施設が日本各地で数多く作られてきました。良く言われることですが、ここ宇都宮においても数多くのゲストハウス型専門式場がありますが「人口にくらべてかなり多すぎる」らしいです。
人口の減少、経済の停滞、結婚率の低下、そして価値観の変化とウェディング業界(他業界もですけどね)にとってマイナスの要因ばかりです。これからはあまりにも現実とかけ離れたウェディングよりも、より日常に近いウェディングが求められるのかなと考えています。
より日常に近いとは「いつでも行ける」「半永久的に存続している」「無理のない出費」「演出より儀式」といったものです。このことを踏まえると施設ありきの「箱型ビジネス」の将来はあまり明るくないかもしれません。家族婚・神前挙式・フォトウェディングの需要が年々高まっていると言うことを踏まえると、現実味を感じざるを得ません。
ウェディング業界は今後、減少し続ける【結婚式したい派】の単価を吊り上げるのではなく、【結婚式しない派】の方々に対してこれまでとは違う価値観の結婚式を提案し、「結婚式してみようかな?」と思っていただけるようなビジネスをしていかねばなりません。
どんな形であろうと結婚式はとても素敵なものです。縁あって出会ったお二人が将来を共にすることを誓いあい、結ばれる。そしてその門出としての結婚式はご家族をはじめ、ご友人などと一生に一度しかない時間を共に過ごせるものなのですから。
その昔、日本には結婚式というものは存在せず「祝言」というものがありました。多少は背伸びはしたとは思いますが、過度な出費、過度な演出はせずに本当に身内だけのひっそりとしたお祝いでした。
時代は繰り返します。
ファッションも経済も、そして価値観も。
また祝言のような時代が来るかもしれません。というか来させなければいけないと感じています。