長い長いトンネルを抜け、ここ数年はまさに右肩上がりに打掛の人気が急上昇しています。
	
	
	「打掛は美しい」という潜在的な想いは遺伝子レベルで日本人の頭脳に組み込まれているのかもしれませんね。数百年も続く伝統、そして文化が育み、先人が継承し続けたくれたお陰で今があります。
	
	
	ただこの打掛ブームにおいて「ちょっとそれは違うんじゃない?」という同業さんもいます。ま、これは私個人的な意見なので良い悪いは皆さん個人個人でご判断下さい。
	
	
	① 打掛のモデルに海外の方を起用する意味がわからない
	
	打掛は日本独自の婚礼衣裳であり、もちろん実際に着用されるのも日本人です。
	にもかかわらず、何故ウェブサイトやパンフレット等に海外(欧米系)の方を起用しているのでしょうか?その宣伝等は日本人向けなのに意味がわかりません。
	こういったことは他の国ではありえないこと。
	
	確かに肌は白いし、見栄えもするのでしょうが・・・・。日本人としては寂しい想いがします。もちろん海外の方が着用NGという右派的な考えではなく、打掛を製作している側、その宣伝を見る側のことも考えるべきではないかと思います。
	
	奇をてらった戦略なのかもしれませんが和装はそう言うものではないはずです。
	
	
	② 洋のテイストを入れすぎている
	
	ストライプ柄、ハート柄などこれまででは考えられなかった打掛が誕生しています。
	伝統・文化と言った物は新しいテイストを取り入れてきたものではありますが、さすがにストライプやハート柄は違うのではないかと感じます。日本にも「縞」という日本独特のストライプ模様もありますし、かわいらしい柄もたくさんあるのですから、それらをアレンジして欲しいと思います。
	
	③ あまりにも柄を入れすぎている。
	
	打掛の魅力は美しい柄と、それを引き立たせる純白の色という組合せのシンプルさです。
	しかし現在では「かわいい」を求めるあまりにごちゃごちゃとした組合せをしすぎていると感じます。通常なら白の掛下が派手やかな市松模様、これだけで十分にもかかわらず鮮やかすぎる半襟、そして色つきのはこせこセット。
	
	一見、確かに可愛らしいですし個性的です。好きな人は好きだと思いますが、せっかくの打掛の柄が台無しです。
	
	色ドレスと同じ感覚で色打掛を見てはいけません。全く別物ですから。
	
	こんなごちゃごちゃした組合せは今は良いですが、間違いなく流行遅れになるものです。こういうことに拍車がかかることが和装離れを助長する原因となります。
	
	
	打掛を扱う業者の方は「今だけ儲かればいい」という短期的な考えでなく、せっかく戻ってきた和装の人気を一年でも二年でも、出来ればこの先ずっと続くようなご提案をして頂きたいものです。
	
	「見た目」だけでなく、打掛本来の「本質」をお客様にお伝えし、魅力を知って頂くことこそ我々の仕事であり、使命ではないでしょうか?
	
	崩しを楽しむ「型なし」も「型」を知っていればこそできることです。「型」を知らずに崩すことは本末転倒で、文化でも伝統でもなく「やっつけ仕事」に他ならないと思います。


 
 





