昨日、知り合いから嫁入り道具のひとつである桐の長持(ながもち)をいただきいました。
旧家の蔵を解体した際に出てきて、所有者が処分をお願いしたそうです。そして当店にやって来たということです。
見るからに年代物で、蔵の奥の奥にしまったままだったのでしょう。かなり汚れていたのですが、空拭き(桐なので水分厳禁)でせっせと汚れを落としましたが完全には取りきれませんでした。
しかしこの長持は画像からでもわかるようにとても大きく、横170センチ×縦60センチ×高さ60センチです。こんな大きな物は一般の家屋ではちょっと大変ですよね。またスタッフ数人は「なんか棺桶にも見えますね・・・」なんてことも言っていましたが、まぁそう見えなくもないですけど。
ちなみに長持の中はこんな感じです。
外側に比べ、よそう以上に綺麗です。ホント人ひとり入れそうです。
こんな錠前もいい感じです。既に壊れてしまっていますが、当店ではディスプレイ用として活用しますので問題なしです。
さて現在のこの長持はabitoの店内でこんな風にして飾らせていただきました。
「棺桶みたい」
この言葉に頭が支配されてしまったので、そのままポンと置くとそれこそそのように見えてきそうでしたので、おめでたさを演出する赤の毛氈を敷いてみました。蓋の上には婚礼和装小物を置き、さらには金屏風、白無垢と紋付袴のトルソーを配置し、和のディスプレイの完成です。嫁入り道具として使われてきたものですから、婚礼和装との相性抜群です。
前所有者の方がこの長持を手放した理由はわかりませんが、これを持参し嫁入りした方、そしてこちらを持たせたご家族の気持ちを全く無関係の当店が伝承していきたいと思います。結婚式や和装前撮りに携る仕事をしている当店にこうやって巡ってきたのも何かの縁です。また多少の汚れと損傷はあるにせよ、恐らく50年以上は経過しているでしょから縁起物でもあります。
その縁起にお客様、そして当店もあやかれたら嬉しいです。
いつまでもずっと大切に扱わせて頂きます。全所有者の方、元々の所有者の方、贈った方、そして縁を運んでくれた知り合いに感謝です。