今年に入ってから、やたらとブログで七五三について書くことが多くなりました。でもそれだけ当店の七五三に対する想いがあるわけです。
そして本日は男のこの七五三衣裳、つまり羽織袴についてちょこっと書きたいと思います。
最近の七五三は「お宮参り」より「写真撮影」を重視する傾向が顕著に現れています。それだけに七五三に携わる店舗さんは「新作衣裳」「個性的衣裳」「ブランド衣裳」の仕入れに躍起になっていることでしょう。
五歳の男の子が着る七五三衣裳は基本的に【羽織袴】です。名称どおり、「羽織」と「袴」の組合せになります。
「ん?紋付袴とは違うの?」・・・・こう思われる方もいるのではないでしょうか?答えは「違います」ということになります。紋付袴はやはり名称どおり「家紋」が入った羽織をさしますが、羽織袴には家紋は入りません。ちょっとした違いに感じるかもしれませんが、この差はかなり大きいのです。
日本の男性和装において、最上位に位置する格を持つ衣裳の条件は「羽織が黒」「五つ紋がある」「袴は仙台平」です。現在のオシャレで華やかな七五三の衣裳はこの条件を満たしません。もちろんそれがダメということでなく、「違うんですよ」ということです。
ちょっと話がそれますが、最近歌舞伎が人気ですよね。
歌舞伎という伝統芸能そのものはもちろん、海老蔵さんやら勘九朗さん、獅童さんなどの若手役者さんも人気です。ミーハー的な観点もあるでしょうが、やはり日本の伝統文化ということに魅かれる方が多いのではないでしょうか?
そんな歌舞伎の世界で、「ここぞ!」という重要な時、例えば「襲名披露」などの場合に歌舞伎役者さんが着る和装と言えば「五つ紋の黒羽織」「仙台平の袴」です。これは大人だけでなく、次代を担うお子様達も同じです。
昨日のテレビで新しく「中村勘太郎」を襲名する勘九朗さんのご長男のドキュメント番組を見ました。
そこではまだ五歳にもかかわらず、「中村屋」の跡取りとして立派に振舞う勘太郎君の姿が写され、そして「五つ紋の黒羽織」「仙台平」の衣裳を身に纏っていました。やっぱりお子様とは言え、その姿はとても凛々しくカッコいいものでした。七五三ではないけれど、子供にとって大切な節目に着る衣裳としてはピッタリだと感じました。
親子で着たら、より重みが増しますね!
もちろん羽織には中村屋の家紋である「角切銀杏」が・・・・。
先祖から代々受け継ぐ家紋を身につけ、大切な大切な節目を迎える。これは日本ならではダンディズムであり、日本男児としての嗜みなのかもしれません。見た目には出さない伊達さですよね。
ちなみに当店にも七五三でご着用頂ける五歳用の【五つ紋黒羽織】【仙台平の袴】がございます。
家紋に関しては「貼り紋」を使用することで、様々な家紋に対応させて頂いています。
最近主流の七五三衣裳とは真逆のテイストで、華やかさや飾り気はないに等しい衣裳ですがそれ以上に「格」と「重み」と「伝統」に満ち溢れています。そして家紋を入れることにより、世界に一つだけのオリジナルな七五三となること間違いなしです。
流行の衣裳は新しさを感じる期間は短く、時代と共に移り変わります。しかし伝統的な「正しい衣裳」は時代に流されることなく、常に新しいのです。十年後も五十年後も次世代になろうとも常に輝き続ける衣裳はこういう物なのかも知れません。
もしかしたら古臭く、価値を感じない事もあるかもしれませんがそんなことは全くありません。ぜひ七五三衣裳選びの選択肢に一つとしてお考え頂けたら、このブログを書いた甲斐があるのかなと思います。