打掛のお話
白い打掛は「白無垢」と呼ばれています。
こちらが白無垢です。
そして色が入ったものは「色打掛」と呼ばれています。
こちらは赤の色打掛。
日本伝統の婚礼和装であり、最近では色ドレスの代りに色打掛をお選びになる
花嫁様が大変多くなっております。また「写真だけでも残したい」ということで、
前撮りや別撮りとして和装フォトウェディングをご希望される方が急増中です。
私たちのような貸衣裳を扱うものにとっては「当たり前」のことも、ご結婚される
お二人にとっては初めて知ることばかりですよね。簡単に「打掛姿」といっても、
この打掛を羽織ればいいわけではございません。
ご存知の通り、お着物を着るには「着付け」をしなければなりません。
特にこの婚礼和装の打掛の着付けは難しく、技術を持っている方も年々少なく
なっています。
見た目はもちろんですが、紐や帯を締め具合の塩梅や着崩れしないテクニック、
そして速さが求められます。
また打掛は打掛だけでは形になりません。
打掛単体はこんな感じです。
裏側はこんな感じです。
つまり、最後の最後に羽織るものが打掛なんです。
最終的な完成形はこのようになります。
でもこの打掛の中はこうなっています。
この白い着物は「掛下(かけした)」と言います。
打掛のすぐ下に着るもので、掛下には帯を結びます。
こちらがその「掛下帯」です。
そして何と!この掛下の中には「長襦袢(ながじゅばん)」という着物を着なければ
なりません。
桜柄の衿がありますよね。こちらはその長襦袢の衿です。
長襦袢そのものは掛下で隠れてしまっていますが、この衿だけは打掛姿の
大切なポイントになります。
そして更に、この長襦袢の下には「肌襦袢(はだじゅばん)」そして「裾除け(すそよけ)」
という着物用のいわゆる下着を身に付けます。
そしてこれらを着付けるためには様々な着付け小物が欠かせません。
【伊達締め】【腰紐】【帯枕】【おとんこ】【腰当】【帯板】など、多くのものがなくては
なりませんし、【懐剣】【はこせこ】【びらかん】などの飾りも外せません。
こう考えると打掛ってとても大変手間が掛かる衣裳です。
・一人では着ることができない
・必要なものがたくさんある
・すぐに脱ぐことが出来ない
・重い
・・・などなど、一見いいことがないように思えます。
しかし
・一人では着ることができない⇒着付けてもらうことで特別さを感じる
・必要なものがたくさんある⇒それだけ華やかさが演出される
・すぐに脱ぐことが出来ない⇒たくさんの時間を過ごすことができる
・・・ということだと思います。
世の中の「良い」とされる物の多くは、時間と手間をかけられています。
だからこそ価値があり、長きに渡り受け継がれているのだと思います。
打掛姿は「伝統」「文化」「技術」「手間」が織り込まれた芸術です。
簡単に言ってしまえば「服飾」ですが、小物ひとつひとつにそして柄や色などに
も意味が込めらています。
ウェディングドレスのお色直しでカラードレスも素敵ですが、代りに日本の結婚式の
象徴でもある色打掛を選択肢の一つにして見てはいかがでしょうか?
どうせお色直しをするなら、「色」を変えるだけでなく、洋装から和装へ変えて、ゲスト
の方々をあっと言わせちゃいましょう!!!
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