結婚式は新郎新婦だけのものでなく、お二人に関わる方々のものでもあります。
ご両親はもちろん、ご兄弟（姉妹）、ご友人、職場の同僚の方々・・・。結婚式を終えての想いはそれぞれあると思いますし、立場によってその思いも違うことでしょう。
本日は結婚式を終えたあるお父様の思いを書き綴りたいと思います。
こちらのお父様は当店でモーニングをレンタルくださいました。
先月にご自宅での衣装合わせをご希望され、先月初めて伺いました。そして使用される数日前に衣裳をお届けし、引き取りと合計で3回お会いすることになりました。
ご自宅にお伺いするたびに何かとお話しさせて頂きましたが、とても穏やかで優しいお人柄がお顔に出ている方。
奥様が昨年お亡くなりになったこと、結婚される息子さんは一人息子であること、そして千葉で結婚式をされること、奥様がお元気な時は二人で様々な場所へお出かけになったこと、奥様はとても優しい女性でありながらも子育ては非常に厳しかったということ・・・様々なお話しをしてくださいました。
とても奥様を愛してらっしゃのでしょう、明るく振舞ってくださいましたが、言葉の節々にその寂しさと悲しさを感じました。お元気であれば一緒に息子さんの晴の姿をご覧になり、笑い、涙し、かけがいの無い一日を過ごせたわけですから当然です。奥様が厳しくも、一生懸命に育て上げた一人息子の立派な姿をどんなに見たかったことか・・・・。
何をするにでも一緒だった奥様がなくなり、結婚式はお父様お一人での出席となりますのでどこか不安な気持ちも有ったことと思います。もちろん一世一代のことで、お父様という立場での出席ですから緊張も否めません。いろんな感情を抱えての結婚式だったことでしょう。
そして結婚式当日。
亡くなった奥様のお席も用意されていて、終わるころには知らない間に奥様に対するメッセージが多数寄せられていて、それを見た時は涙が溢れそうで堪えるのにとても大変だったそうです。
結婚式を終え、衣裳をご自宅に引き取りに伺った時、お父様の表情はとても明るく、そしてスッキリとされているようでした。
お天気に恵まれとても良い結婚式だったこと、息子さんが優しく素敵なご友人や職場の同僚の方に恵まれていること、結婚式での立派な姿を見てとても安心されたということ。こんなことをお話しくださいました。
結婚式は親に対し、「成長」と「安心」を宣言する場でもあるのかもしれません。
結婚式を挙げる資金力、準備を進める行動力とともに、こういう方々に支えられて生きているという報告などなど普段では話せないようなことも、結婚式を通して親に伝えることが出来ます。
そして親はそれを見ることが何よりの喜びなのかもしれません。
子育てのひと区切りである息子さんの結婚式を見て、亡くなった奥様に託された子育てミッションを無事コンプリートしたことでお父様も少し気持ちが軽くなり、表情が違って見えたのかもしれません。そして何よりお嫁さんという新しい家族が増え、それがとっても嬉しかったのだと思います。
お孫さんが出来ればまた一人、また一人と家族が増えます。それも楽しみのようでした。
この業界にいると結婚式は「素敵」「綺麗」「かわいい」「豪華」などビジュアルや雰囲気に目が行きがちですが、そんなことは二の次のような気がします。
何気ない出来事の側面もお伝えすることで、結婚式とは特別なことをもたらす物であることを認識して頂き、その日をより深く胸に刻み込んでくださるようになればと感じました。
とっても印象に残るお父様でした。
この仕事をしているからこその出会いをこれからも大切にしていきたいと思います。
