成人式の振袖、七五三のお母様が着る訪問着や付下げなど、意外とご自分の着物を持っている方は多いもの。
またご自分の物でなくても、ご家族の物だったり、親戚やご友人からお借りして着物を着る方がここ数年本当に多くなったと感じます。レンタルしちゃえば簡単だし、全てが揃っているので便利ですが、少しでも費用を抑えるならそう言った選択肢もアリですよね。
当店においても撮影などでの着物のお持込が随分と増えているのを実感しています。
しかしご自分の、あるいはどなたかに借りたお着物の場合、色々な問題もあるのも事実。でも対処できるように知っておけば、問題なくご着用いただけるのでぜひ知識として知っていただければと思います。
お着物の状態をチェックしておく
例えご自分のお着物であっても、常日頃から出し入れすることなんてないですよね。
数年ぶり、もしかしたら十数年ぶりにタンスから出したなんてこともあります。もしそのまま着付けしてくれる場所へ持っていっても、広げたら「あら?」なんてこともありますので、まずは状態をチェックすることが慣用です。
チェックすべき箇所はこんなところ
・着物にしわが寄っていないかどうか。
・虫に食われていないか。
・色は変色していないか
・着物のサイズが貴女に合うかどうか
これらをチェックせずに着付け当日を迎えた場合、最悪着ることが出来ない場合もあります。しわがあるだけならアイロンを当てる(当て布が必要)だけでOKですが、虫や変色、サイズ違いの場合はちょっと難しいですからね。
まずは余裕を持って着物をチェックし、できれば日の当たらない風邪と折の良い場所で虫干しされることをおすすめします。またチェックしても「わからない」「これで大丈夫か?」と心配な場合は、前もって着付けしてくださる方にご相談してみてはいかがでしょう。
きちんと小物が揃っているかも確認すること
基本、どのご家庭においても着物は一式まとめてお仕舞いになっていると思いますが、だからと言って必ずしも全部揃っているとは限りません。一つでも不足すると着ることが出来ない衣装でもありますので、やはり事前の確認は欠かせません。
着物は着物だけでなく、「長襦袢」「帯」「帯揚げ」「帯締め」などの小物の他に、着付け小物である「腰紐」「伊達締め」「帯板」など様々なものが必要となります。草履やバックだって欠かせません。
「何が有って、何が無いのか?」
着物に詳しい方でない限り、殆んどの方がチンプンカンプンなのではないでしょうか?この場合もお着付けされるお店などに必要なものを教えてもらい、それでもわからない場合は事前に確認してもらいましょう。あ、肌襦袢や裾除け、足袋なども欠かせませんのでそちらもお忘れなく。
こんなことも確認すべきです
■振袖や付下げ、訪問着の場合は衿元につける「伊達衿」を忘れがちですのでご注意を
■数十年以上にわたりしまいっぱなしのままであった草履は鼻緒や底が弱ってしまっている場合があるので要チェック
■着物をたくさんお持ちの場合は着物と小物一式が合ってない場合もありますのでご注意を
■足袋にはサイズがありますので、ご自分のサイズと合うかどうか確認しましょう
■買ったままでしまいっぱなしの着物の場合、「仕付糸」がついたままの場合もありますので外しましょう
■樟脳の匂いがキツイ場合はなかなか取れないので、早めに風を通して匂いを抜きましょう
十分に気を付け、確認しておきましょう
最後に・・・
ここまで書いてしまうと「やっぱり自分の着物を着るのは面倒かも・・・」と思うかもしれません。でもこれだけじゃないんです。着物を出してきるということは、再びタンスに仕舞うことでもあります。
着物は洋服のように洗濯機で洗って、干して、畳んでしまうというわけにはいきません。できればきちんとクリーニングに出すべきですが、最悪でも直ぐに仕舞わずに、やはり風通しの良い場所で数日虫干ししてから仕舞ってください。この仕舞う時が一番大切です。
小物一式を一緒に、足らないものは紙にでも書き出してわかるようにしておくことをしておけば次の時にとっても楽です。そして年に一度でも良いので虫干しすることをおすすめします。
もっと面倒に思えてきたのではないでしょうか。でも思い入れのある、愛着のある着物を着るということはこういうことなんです。
今の時代、お着物はある意味特別な衣装と言えます。
特別な時、特別なことをすることはとても面倒な作業が伴うことが多いですが、だからこそ特別感を感じることができるというものです。大切に扱えば二代、三代に渡ってご着用いただけますので、大変面倒ではありますがどうにかクリアしてください。
それでもどうしても面倒臭い・・・そんな方は貸衣装がおすすめですね。
費用はかかりますが、着物を選べば全ての小物が揃っていますし、お手入れも管理も一切不要なので面倒は一切ありません。それに着る機会が多ければ多いほど、いろんな色や柄の物が着ることができるのは新鮮ですよね。
とにかく、ご自分の着物を着る場合は余裕を持ってチェックする事が大切です。
そしてわからないことがあれば、やはり専門の方に相談することが安心に繋がります。いざという時に困ることがないよう、早め早めに準備をして行きましょう。