時折、ふとした瞬間に思い出す大切な友人。

京都へ行けばまた会えるような気がするけど、もういなくなって4年経ったんだね、堀切さん。

ということで、私の大好きな友人を多くの方に知って頂きたく、2016年2月の記事を転記しました。



男衆 堀切修嗣
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 男衆とは花街(かがい)で芸妓や舞妓の世話をする職人の男性のことです。
堀切さんは今の時代ではある意味特殊となる芸妓・舞妓を、卓越した技術で「美しさ」
と「着心地」両方を兼ね備える着付けをされていた方です。

昨年末、もうお会いすることの出来ない世界へ旅立ちました。

彼を初めて知ったのはドキュメンタリー番組の『情熱大陸』

私も和装や着物という日本の文化を商売としているので、何となく興味をもち
番組を見ました。
いかつい体つきに顔、耳にはピアス。そして移動は自転車で趣味はバイク。
一件、京都の花街とは無縁そうに見える男性こそ堀切さんでした。その時感じた
衝撃は今でもはっきりと覚えています。

なんならミュージシャン?と思わせる風貌ながら、江戸時代から続く花街の伝統文化
を「着付け」というジャンルで守り続けてきました。この見た目とされていることのギャ
ップに一人の男として「憧れ」を感じました。

当時、私もTwitterをしており、番組を見終わると即堀切さんをフォロー。しばらくして、
Facebookが認知されてきて、ここで友達となりました。
と、ここまではいわゆる「有名人」と「一ファン」の関係でした。

仕事柄、京都へ出張することが多々あり、たまたま「今日から今日と出張です」と
新幹線の車中でFacebookに投稿したところ、堀切さんから連絡を頂きました。

「堀さん、もしお時間があるのでしたら会いましょうよ!」
人生の中で男が憧れる男ってほんの数人だと思います。そもそもいたとしても直に会って
話せることってそうそう無いことです。
憧れていた堀切さんから直接お誘いを受けて、本当に嬉しく、柄にも無くドキドキした
のがつい先日のように思われます。
その日の午後、堀切さんのお店「花風(かふう)」にお伺いし、そして遂に対面すること
が出来ました。舞い上がっていたので、汗が止まらず、そして何を話したのかはあまり
覚えていません。
ただ堀切さんのこの言葉だけははっきりと覚えています。
「堀さん、人って会える人と会えない人がいるんですよね。どんなに会いたくてもタイミ
ングがマッチしなかったり、理由はないけど避けられたり・・・・。堀さんとも昨日、そして
明日だったら会うことは出来なかったんですよ。でも今日だった。つまり出会う運命だ
たんですね」
こういう考え方も私の人生に影響を与えました。
そしてこの日から私は堀切さんの本当の意味での友人となりました。

でも実際に堀切さんとお会いしたのは計三回。
二回目は堀切さんの馴染みの店でお酒を一緒に楽しみました。
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三回目はカフェのテラスで二人してタバコを燻らせながら他愛も無い話を延々とし、いずれは一緒に何かしよう!・・・そんな楽しい夢を語らったのが最後。
その後は電話やメールでも様々なお話をしました。

堀切さんは「男衆」という一面だけでなく、「デザイナー」「フォトグラファー」という顔もあり
ました。つまりは何も無いところからクリエイトし、ものを創り出すことに長けていた方
です。そしてその創り出したものは全てに「美しさ」がありました。
最後の電話で話したのは堀切さんのこれからの展望でした。
江戸時代の画家 伊藤若冲のこの絵をドレス姿の女性をモデルに、写真で表現した
いので相談にのって欲しいとのことでした。
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もちろん私の答えはOK。ドレスも決まり、「スケジュールが決まったら連絡しますね」
とのことでしたが数ヶ月経っても連絡はありませんでした。
そして入院したというFBでの投稿を見て、一度メールのやりとりもしました。
必ず復活してくれる!・・・そう信じていましたし願っていましたが、神様も堀切さんと
どうしても会いたかったようです。

そして昨年末・・・・。

それから約二ヶ月、情熱大陸を見返したり、メールのやりとりを見直してみたりと
堀切さんとの5年の月日を振り返りました。そしてようやく現実を受け入れ、今でも
私が憧れ続けている『堀切修嗣』という人間がいたことを少しでも多くの方に知って
もらいたいという想いで、本日自分のお店のブログに書かせていただきました。

三回しか会っていないくせに・・・確かにたった三度です。でも栃木と京都で全く交じり
あうはずのない二人が出会い、酒を飲み、未来を語り、かけがえのない時間を共に
過ごしました。
堀切さんも情熱大陸の中でこういっています。
「着付って難しいと想われることが多いんですが、結構シンプルなんです。でもその
分深いんです」と。
人との関わりも時間だけでは計れないものです。

京都は大好きな街のひとつです。いろんな魅力がありますからね。
でも自分にとって一つだけ魅力が減ってしまいました・・・・

伝統・文化・美・創造・破壊・混合・・・自分から見た堀切さんを端的に表した言葉です。
そして私がこれからしていかなくてはならないことでもあります。

本当にたくさんのことを教えてくれてありがとうございました。またあっちの世界で
一緒に楽しく酒を飲めるように、話のネタを持って行きます!
でもまだ呼ばないでくださいね、タイミングはまだまだ先ですよ!

栃木の友人 堀 正典

堀切さんのお店「花風」は本格的な舞妓・芸妓体験が出来るお店です。
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本物の衣裳・着付けにこだわっているので、どうせ体験するなら花風が
オススメです。

※花風は現在は閉店されたようです。