時折見かける花魁風(あくまでの「風」)な着物姿。
ビジュアル的に特徴的なのが『肩出し』『帯の前結び』です。肌が露出する分やはりセクシーな印象を受けますね。
ではそもそも花魁とは何なのか?
江戸時代、吉原遊郭で人気実力共に高い遊女のことをこう呼んだそうです。
さて、現代において花魁風の着付を希望される方もそれなりにいるのは重々承知しています。若い女性が憧れるのも理解できますが・・・
当店では花魁風の着付けは受け付けておりません。
理由は簡単で、例えば成人式の振袖。
花魁風に着付けすることは可能ですが、あまりにも無理がありすぎます。
現存する江戸後期から明治初頭の実際の花魁の写真を見ても肩など出していませんが、花魁風着付では肩を出すことが求められます。
振袖などはそもそも肩を出すことを前提に作られた着物ではなく、無理して肩を出せば、振袖の肩・背中の生地があまり、たるみます・・・美しくありません。
また肩を出し、帯結びを前に持ってくると、上半身にボリュームが出すぎると同時に、ぴたっとした下半身とのバランスが最悪となります。
※花魁の帯結びが前にあるのは「男性が脱がせやすくする為」とも言われています。
帯結びを前に持ってくるということは、振袖にとって大切なアイテム「帯締め」「帯揚げ」が使えなくなる事でもあります。
そして何より、実際の花魁の着物は豪華絢爛で至極の芸術品です。
そんな簡単には手に入らない衣裳だからこそ出来る着付でもあるわけです。全てはバランスですね。
繰り返しになりますが、若い女性が憧れる気持ちは理解しているつもりです。
しかし花魁的要素は決して「お祝い」のものではありません。
花魁風着付を否定はいたしませんが、弊社ではお受けすることはございません。正確に言えば美しく着付けることが出来ません。
誤魔化すことは出来ますが、お金をいただいてやることではないと考えます。
文化伝統に捉われず、新しいことはドンドン取り入れていきたいと思いますが、できないことはやはり出来ません。