打掛、振袖、留袖、喪服など和装には様々な種類があります。
面白いですよね和装って。だって既婚者と未婚者で着用できるものが分けられていたり、「立場」や「目的」によって着る和装が変わったりするんですから。私も以前はこんな和装を「面倒な衣裳だな」と思ったものです。しかしよく考えるとそこにはちゃんとした理由があるんですよね。
私見ですが、和装とは洋装と違って「自分の為に着る衣裳」というよりは「他の方の為に着る衣装」ではないかと思います。
打掛は披露宴をより華やかに演出する為の和装、
留袖は他の方に自分が親族であることを知らせる和装
振袖は未婚である事を知らせる和装
喪服はその黒という色で死者を弔う衣裳
こう考えると単に面倒な衣裳ではなく、日本ならではの文化伝統である「おもてなし」が存分にこめられた衣裳なんですよね。
そんな和装はやはりキッチリを着たいものです。その為には和装用の下着である「肌襦袢」にも十分気を遣いたいものです。
肌襦袢は大きく分けて二つの種類があります。
一つは婚礼用、もう一つは一般和装用です。
一般和装用肌襦袢
まずは画像をご覧下さい。
こちらは前から見た一般和装用肌襦袢
後ろからみた画像
一般和装とは何をさすのでしょう。
最も簡単に説明すれば、「白無垢」「色打掛」「本振袖」以外の和装となります。
種類として明記するならば以下の物になります。
「振袖」「留袖」「色留袖」「訪問着」「付下げ」「色無地」「小振袖」「小紋」「喪服」
婚礼和装用肌襦袢
こちらも画像でまずはご覧下さい。
こちらは前からの画像
後ろからの画像
その違いとは?
一見だけでは「何が違うの?」「同じじゃん!」と思って当然ですよ。同じ素材で同じ白、そして同じフォルムなのでパッと見では分りづらいですが、一ヶ所だけ違いがあります。やはり画像の方が分りやすいので、こちらをご覧下さい。
婚礼用を下に一般用を上に重ねてみましたが違いが分りますでしょうか?
その違いは「襟口の深さ」なんですね。今度は後ろからの画像で見てみましょう。
婚礼用肌襦袢の襟の深さは一般用に比べると約4倍くらいあります。
何故違いがあるのかというと、着方、言い換えれば着付け方に違いがあるんですね。
婚礼用和装は後ろ襟をグッと下に抜いて着る衣裳です。
改めて見るとかなり下に抜いているのがわかりますね。
もし打掛に一般用の肌襦袢を使用してしまったら、間違いなく見えてしまいます。また見えないように着付けをしてしまうと、打掛本来の美しさを十分に発揮できません。やはり婚礼用和装には婚礼用の肌襦袢でなければいけません。これは絶対です。
肌襦袢にまつわるあるある話
当店の打掛のレンタル、和装前撮りのお客様には「婚礼用の肌襦袢のご用意が必要です」とご説明しています。
すると「肌襦袢持ってます!」というお客様は少なくないのですが、その殆んどが成人式で使ったものだったり、ご家族がお持ちの肌襦袢なんです。しかし婚礼用ではないので使用は出来ません。
なので殆どの場合、当店で婚礼用肌襦袢をご購入して頂くかレンタルをして頂いております。
どうせ肌襦袢を購入するなら・・・・
前述で「婚礼和装には婚礼用肌襦袢が絶対」と書きましたが、これには続きがあります。
婚礼用肌襦袢は一般和装でも使用が出来るんですよね~これが!
既婚者の方は今後婚礼和装を着る機会はないでしょうから、もし肌襦袢を購入する場合は「一般用」がおすすめです。でも成人式や卒業式の為に肌襦袢を購入する場合は「婚礼用」がいいかもしれません。その殆んどの方が未婚ですから、結婚式や前撮りで和装を着る時にも使えますし、その後の一般和装を着用する時でもOKですから長く使えます。
つまり無駄がないんですね。
婚礼用の肌襦袢は全ての和装で使うことができるので、とっても便利なんです。
最後に・・・
人生において和装を着用する機会はそう多くはありません。
なのでせっかく購入した肌襦袢も役目が終わると「ほったらかし」にされることが多く、次に使う場合にどこにしまったかわからずに結局また新たに購入されることも大変多いんです。そして購入した後に何故か出て来る・・・なんてあるある話もよく耳にします。
ですから購入した肌襦を使用した後は綺麗に洗濯し、軽くでいいのでアイロンをかけてからビニール袋に「肌襦袢」を大きく書き、下着または靴下などを入れている場所に保管しておくといいでしょう。そこは毎日開け閉めする場所ですから絶対に忘れる事はありませんし、空気の入れ替えになり色が変わることもありませんからね。
いずれにせよ、肌襦袢は和装を着用する上で絶対に欠かせないアイテムであるということお忘れなく!