打掛、振袖、留袖といった和装に欠かせないものと言えば「草履」です。
ちなみにこちらは色打掛用のゴールドの草履です。
日常的に使用する履き物ではありませんので、なかなか上手く履きこなせる人は少なく、意外と間違った履き方をしている方が多いのが事実。今日はそんな草履の上手な(正式)な履き方をお知らせしたいと思います。
多くの方がしてしまう誤った草履の履き方
草履を履く(着物を着る)という機会は滅多にありませんよね。結婚式、成人式などごく限られた時だけということが殆んどですから、正式な履き方、歩き方を知っている方は少ないもの。草履のビジュアルから、鼻緒に深く指の間を差し込んで履きたくなってしまうのは当然のこと。
でもこれは誤った履き方なんです。ちなみにこの履き方をした場合のかかとはこんな感じになります。
かかとが草履の長さに収まってしまっています。
皆さんも夏にはビーチサンダルを履く機会が多いと思いますが、あまりに深く指の間を押し込んで長時間履いていると痛くなってきますよね?草履も同じで、このような履き方をしていると、足袋を履いているとは言え次第に痛くなってきて、最悪指の間が靴擦れ状態になり水ぶくれが出来てしまうことがあります。
多分これまでこんな履き方をされてきたでしょう。でも本来の履き方はこうではないんですね。
正式な草履の履き方
薬や電化製品も正しい使い方をすることによって、その本来のパフォーマンス(効果)を発揮するもので、それは草履も同じです。本来、草履の鼻緒は「親指と人差し指の間を入れ込むもの」ではなく、「親指と人差し指ではさむもの」なんです。はさんだときのかかとの状態はこのようになります。
かかとが草履より2~3センチはみ出しています。これが正式な状態と言えます。
草履と靴は全くの別物
草履も靴も「外で履く」という点では同じですが、その履き方は全く違ってきます。靴はまさに「履く」ものですが、草履は本来「引っ掛ける」もの。鼻緒を二つの指ではさんで引っ掛けながら歩くのが草履の正しい使用方です。またかかとが少し出てるくらいが美しく、「粋」でもあるんですね。
草履での美しい歩き方
ご紹介したような正式な履き方だけでなく、ちゃんとした歩き方をしてこそ和装姿はより美しくなります。まず大前提として、草履では内股歩きが基本です。がに股歩きは厳禁であり、せっかくの和装姿が台無しになってしまいます。そして大股でなく、小股で歩くことも求められます。そうすることで、女性らしく美しい歩き方となります。
普段、靴を履いての歩き方と全く違うので歩きにくく感じるのは当然ですが、その歩きにくい姿こそ美しいとも言えます。その際はつま先に体重を乗せた前傾姿勢での歩き方がおすすめです。後ろに体重を掛けると、この履き方では逆にかかとが痛くなってきますからね。
まとめ
和装姿は例えどんなに綺麗な方が綺麗な着物で、最高のヘアメイクをしても「和装の所作」がなっていなければ全てが台無しになります。例えて言うなら超ミニスカートを履きながら胡坐をかくようなもの。見えちゃいますよ♡動きづらい、歩きづらい、面倒、疲れる・・・・着なれない和服を着るとこう思われることもあるでしょう。でもその制限された動きの中にこそ和装の美しさが隠れているのです。つまり和服を着たらそれに合わせた動き方、身のこなし方がとても大切なんです。
せっかくの美しい和装姿です。
もっともっと美しく見せる為にはちょっと我慢して、和装だからこその立ち振る舞いをしましょうね!