「奥ゆかしさ」は日本人特有の形容詞であり、「もったいない」と同様に英訳できません。
その意味は「品位があり、心引かれる」とか「深い心遣いを感じさせくれる」といったものです。
「場の空気を読む」ということも奥ゆかしさのひとつなのかもしれませんね!
その奥ゆかしさの中には「言葉を使わずに思いを伝える」ということも含まれています。
歴史的に見ても、自己表現や自己主張、そしてその想いをはっきりと言葉にしてストレートに相手に伝える事に関しては日本人は得意ではなく、むしろそれを「品がない」とする民族です。
言葉を使うにしろ文脈の中に意味をこめたり、極端な比喩的表現を用いたりしてきました。これは発信する側と受信する側の共通認識があって初めて成り立つものです。つまり日本人同士だけが分かりあえるものなんですね。
「日本人は何を考えているか全く分からない」
「なぜYES NOをはっきりさせないのか?」
外国の方が日本人をこのように思っているのは良く知られていますよね。まぁ外国の方のご指摘も分からなくもないですが、でもこういう奥ゆかしさがあるからこそ日本人なのです。
さて、そんな「言葉でなく想いを伝える」手段として水引というものがあります。
この数本の紐で結ばれたものが水引です。
一概に「水引」といっても多岐に渡りますが、その違いの主なものとして「色」「結び方」「紐の本数」があります。
よくある色の組み合わせも様々ですが、慶事で使われるのは「赤・白・金・銀」であり、弔事では「白・銀・黒・紫」となります。そして結び方もいろいろあるんですよ。
花結び
結び目が簡単に解け、何度も結びなおせることから繰り返しの想いをこめて「開店」「出産」「長寿」などのお祝い事に使われます。逆に「婚礼」には適していません。
結びきり
固く結ばれて解けない想いをこめて「婚礼」に、また二度と繰り返さないという想いをこめて「弔事」や「お見舞い」「快気祝い」などに使われます。
あわし結び
こちらは関東と関西で使い方が異なります。
関東では一度きりのお祝い(婚礼祝い・快気祝い)や仏事に使われ、関西では関東より幅広く使われている用です。
そして紐の数ですが、基本は奇数で「5本」です。5本<7本と本数が多い方が良しとされていますが、「苦」を思わせる9本は使いません。婚礼では10本の物が多く使われますが、これは偶数とするのではなく、5本が×2という考え方なんです。
意外と水引に付いて知らなかったこと多かったのでは!?
でも明日からはもう大丈夫ですよね!同じ慶事でも使い方に違いがあるのでご注意くださいね。
このように言葉を使うことなく「婚礼」「出産」「快気」「開店」などの慶事、そして仏事弔事などに対する想いを水引で表すのも日本人の奥ゆかしさの素晴らしいところだと思います。
もちろん打掛などの婚礼衣裳にもその「言葉を使わずに思いを伝える奥ゆかしさ」があります。
懐剣・ハコセコ・末広などにもそれぞれの意味があるんです。
結婚式ではご家族をはじめ、ご友人やゲストの方々からこの水引の付いたお祝いをいただくことでしょう。そこには言葉に出さない想いがこめられているんですよ。そこをお忘れのないように。
そしてそんな想いには想いをお返ししなければなりません。
それが祝いの食事だったり、おもてなしだったりします。
そして何より晴れの日だからこそ衣裳で「幸せ」と「喜び」を表現すべきなんですね。だってゲストの方々はそんな姿のお二人を見たいわけですからね。
ドレス姿も素敵ですが、お色直で貴女の打掛姿を見れば、ゲストの方々の盛り上がりはより一層となるはずです。「ドレスだけ!」と決めてしまう前に、一度和装をお考え下さい。
まずは打掛を見て、触れて、試着してみてください。
たったそれだけで貴女の和装への考えが少しは変わるはずです!お試しあれ。