昨日は特別な思い入れのある花嫁様の結婚式でした。
こちらの花嫁様とは一年以上に及び、メールでやり取りさせて頂き、遂に昨日結婚式をお迎えになられました。
ちなみに一度もお会いしていません。なんせ県外にお住まいで、結婚式も横浜でしたので直接お目にかかる機会がなかったんですよね。
最初のメールはこんな感じの内容でした。
「どうしても結婚式でウェディングドレス・カラードレス・打掛が着たいのですが、お色直しの中座の時間を短くしてゲストの方々を出来るだけお待たせしたくありません。でも打掛へのお色直しって時間がかかるようなので、いろいろとネットで検索したらabitoさんのブログにたどり着きました」
そうなんですよね、ドレスも打掛も着たいけど「着付け時間」というのがネックになり、諦める方は多いのではないでしょうか?でもせっかくの結婚式ですから、自分の希望も叶えたいのも当然です。こちらのお客様は諦めることなく、「打掛も着る!」という思いで行動に移されました。
そしてネット検索でたどり着いたのが「和装のお支度を短縮するなら二部式の掛下です」という当店のブログ。
ちなみにこの時点では結婚式場は決まっていませんでした。打掛のことだけでなく、その他にも結婚式で希望することがいくつかあり、その条件を叶えてくれる式場さんをお探しになったようです。
これってとっても大切です。
人気のある式場さんは特にそうだと思いますが、ビジュアルだけで結婚式場を決めてしまうとその他のこと(あなたが以前から思い描いていた結婚式の内容等)は諦めなくてはならないかもしれません。もし結婚式で叶えたいことがあるのなら、そのことを条件に契約すべきです。
着たいドレスがあるのであれば、衣裳の持ち込みを条件に、
ヘアメイクをお任せしたい人がいれば、そのことを条件に
一生に一度の結婚式です。「妥協」をせずに思いっきりわがままになっちゃっていいんじゃないでしょうか?
さて話に戻ります。
最初にいただいたメールに対し、私はこのような返信をしました。
「確かに二部式の掛下で打掛の着付けの時間はかなり短縮することが出来ますが、実はこれだけでは不十分です。ヘアメイクのことを忘れてはいけません」
というのは、ドレスから打掛にお色直しする場合は当然ですが、ヘアメイクも変わります。ガラッと変えようとするとそれだけ時間もかかるので、ドレスのヘアメイクの際に打掛姿を想定したものにすることで、こちらでも時間を短縮するこことが出来ます。
つまりは準備、そして打ち合わせが大切なんですね。
準備いえば、この二部式掛下を結婚式一ヶ月前のリハーサルでお貸ししました。
確かに二部式掛下は着付けの時間を短縮できますが、着付けの方が慣れていないと意味がありません。花嫁だけでなく、スタッフの方の準備も大切ですからね。ちなみにこれは私達側からご提案しました。全てはお客様のご希望を叶えるためですからね。
そして結婚式3日前にこの二部式掛下をご指定の場所に郵送手配した時、初めてこちらの花嫁様と電話でお話させて頂きました。
メールの文面からにじみ出る優しい雰囲気そのままのお声で、素敵なお客様でした。
リハーサルでの状況をお聞きすると、やはり着付けの時間はかなり短縮できたようなのでホント良かったです!一年以上に渡りやり取りしてきた甲斐があったというものです。お客様の悩みを解消できた満足感でいっぱいです。
でもですね、二部式掛下のみのレンタルはしていないんです本当は。
じゃぁ何故今回はOKだったのか?
それはお客様の熱い想いが伝わってきたからです。
人間誰しも感情というものを持っています。何から何までマニュアルどおりに仕事をすすめるのも大切なことかもしれませんが、そこには個人の判断というものは存在しません。要は会社という組織の判断に過ぎません。
接客業、そして婚礼業に携わる人間こそ感情が豊かでなければなりません。
自分達にとって何百とある結婚式の一つでも、お客様にとっては一生に一度の結婚式です。そして結婚式に対する思いも結婚式の数だけあるので、全てをマニュアルでこなすのは不可能です。
当店では親密になったお客様、熱い想いが伝わってきたお客様には「えこひいき」することがあります。これは特別扱いすることになりますが、その他のお客様を差別することではありません、念のため。
私達にも感情がありますからね。
とにかくこちらの花嫁様は特別扱いさせて頂きました。でもそうしてほんとに良かったと思っています。
ブログを通して、メールだけの繋がりでしたが私はお客様を信頼しましたし、お客様もそうだったと信じています。
いわゆるネットレンタルはリスクが結構あるんです。お貸しした商品が戻ってこなかったり、破損したまま返却されてそのまま連絡が取れなくなることもありますからね。なので当店では本当に信頼できるお客様のみにネットを通してのレンタルをしています。